ストーカー規制法が改正され、令和3年8月26日からストーカー行為に「GPSを仕掛けて履歴を監視する行為」が追加されることになりました。
浮気調査ではGPSによる調査をおこなうケースも多いため非常に気になる法律改正です。
今まで浮気調査で配偶者が運転する車等にGPSを仕掛けるのは合法とされてきましたが、この法律が実施されるとGPS調査は違法となってしまうのでしょうか。
浮気調査はストーカー行為に該当するか
まず、この法律は「ストーカー行為」を規制するものであるので、最初のポイントは「浮気調査がストーカー行為に該当するかどうか」となりますが、ストーカー行為の定義を法律から確認する必要があります。
(定義)
ストーカー行為等の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索
第二条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
相手に対する恋愛感情その他好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で(つきまとい等を)おこなう、これがストーカー行為の定義となります。
これはすでに婚姻中の夫婦に該当するのでしょうか?
そもそも浮気調査の目的は「浮気を調べる」「浮気の証拠取得」「慰謝料請求」「離婚請求」等ですよね。
ちなみにストーカーは元恋人や元夫婦というケースも多いですが、現夫婦同士でストーカー事件というのは聞いたことがありません。
「別居中」「離婚調停中」ならまだしも、そうではなく夫婦として一緒に住んでいる者が浮気調査されたからといって急に相手をストーカー扱いするのも違和感があります。
ストーカーは刑事事件なのであくまでストーカーかどうかを判断するのは警察・検察となるわけですが、今まで一度も配偶者による正当な浮気調査がストーカー行為と判断されたことはないだろうと思いますので今後も変わることはないでしょう。
浮気調査でGPSを仕掛けることはストーカー行為に該当するか
今まで一度も正当な浮気調査がストーカー行為と判断されたことはないだろう、と書きましたが、それは上述のように浮気調査の目的が「浮気を調べる」「浮気の証拠取得」「慰謝料請求」「離婚請求」等であり、ストーカー行為の定義から外れているからです。
行為 | 目的 | 手段 |
---|---|---|
ストーカー行為 | 恋愛感情・好意の感情・満たされない怨恨の感情を充足 | つきまとい、待ち伏せ、GPS |
浮気調査 | 浮気を調べる 浮気の証拠取得 | 尾行、張り込み、GPS |
ストーカー行為には「つきまとい」「まちぶせ」等の行為も含まれますが、類似する探偵の「尾行」「張り込み」は通常ストーカー行為とはなりません。
目的がストーカー行為の定義から外れている浮気調査が手段としてGPSを使用したら急にストーカー行為に変わってしまうのは法律的にもおかしな話となり、ストーカー行為の定義が崩れてしまいます。
※但し、合法的にGPSを仕掛けられるのは夫婦共有の財産(車)などに限定され、配偶者個人の所有物に仕掛けるのは厳密にはプライバシー侵害となるようです。
実際に浮気しているかどうかが影響するか
上述の内容ですでに結論は出ているのですが、配偶者が実際に浮気をしているかどうかが関係するかどうかを考えてみます。
まず、配偶者が浮気をしていると仮定します。
ストーカー被害は刑事事件なので警察の調べが入ります。
浮気している配偶者がGPSを仕掛けられたことでストーカー被害を訴えたとしても、警察の調べで配偶者が浮気していることが判明したら浮気調査の正当性も判明することになると思われます。
では浮気していなかった場合は正当性はないのでしょうか?
少なくとも探偵と「浮気調査の契約書」を交わしていればGPS使用がストーカー行為ではなく浮気調査の目的であったという証拠にはなると思います。
但し「別居中(離婚調停中)」の場合は例え相手の浮気を疑っていたとしても、拒絶している相手に付きまとっている(ストーカー)と判断される可能性はなくはありませんし、GPSを仕掛けるために住居侵入をした等の別の違法行為にも該当する可能性があるので注意が必要です。
※最後に
ここまで配偶者にGPSを仕掛ける行為が原則としてストーカー行為にはならないという内容で書いてきましたが、当サイトは法律のプロではなく正確性は保証できませんのでその点は何卒ご了承ください。
法律の専門家たちが作ったこの法律で浮気・不倫をしている側が守られ、逆に浮気・不倫をされている側が不利になるようなことはないと信じたいですね。